四月に宇宙に出発したかった
山手線に乗っていたときにとつぜん線香の香りが立ちこめてきて、なんだろう、とおもったことがある。なんだ、どうしたんだ、と。
でっかいスモークサーモンを抱きしめた男にも山手線でであったことがある。夏のことで、電車の床に、オレンジ色の鮭の汁がぽたぽたこぼれていた。幻想かとおもった。男も鮭も汁も電車も。
ぜんぶ、幻想かとおもった。山手線もわたしもスモークサーモンも。
しなない。
四月に宇宙に出発したかった
山手線に乗っていたときにとつぜん線香の香りが立ちこめてきて、なんだろう、とおもったことがある。なんだ、どうしたんだ、と。
でっかいスモークサーモンを抱きしめた男にも山手線でであったことがある。夏のことで、電車の床に、オレンジ色の鮭の汁がぽたぽたこぼれていた。幻想かとおもった。男も鮭も汁も電車も。
ぜんぶ、幻想かとおもった。山手線もわたしもスモークサーモンも。
しなない。