手をみんなが叩いてるときは一緒に叩いた
「これ、かっこいいラーメンだね。剣みたいにシナチクがつきささってる」「そうだね」
かっこいいラーメンを食べながら夢の話をした。「ふだんもまどろんでるせいでコアラみたいだよねって言われたこともあるんだけど、夢のなかでもまだまどろんでいた。夢のなかでもまどろんでるんなら、いったいどこでぼくはちゃんとしていられるんだろう。まあそれはいいんだけど」「うん、それはいいね」「まどろんでたら地平線にひとの列がみえてとっても長い列だった。男だか女だかひとなんだかわからないけれど、ともかく長い列だよ。連れていかれてるのか、巡礼なのか、ラーメン屋にならんでるのかもわからない。ともかく、その、」「まどろんでるからね」「そうそう、どうにも判然としない」「はんぜん?」
「馬や豚もまぎれこんでいたみたいだったよ。すごくおおきなひとがあるいていて、背がまがっている。ゆっくりとあるく。よく眼を凝らしたら馬だった」
「いい話だね」「え? 馬が?」
また日曜日にラーメンを食べている。とても長い豚の角煮が入っていて、たえず角煮に気を遣わなければ角煮はどんどんスープのなかに沈み込んでゆく。わたしが話しかけていた女のひとは長い髪を耳にはさみこんでいる。すすりあげていた。