きちんと計算するとこの穴にたどりつく

よく、なやんだときは、日比谷公園をうろうろしている。

だいたいじんせいで大事なことはこの日比谷公園で起こってきたようなきがする。そうだ、あの花壇のあたりでわたしは電話したんだ。あのときの電話をうけたのはあの噴水のあたりだった。

日比谷公園に運命をかんじて昔バイトをもうしこんだら、「あんたはほうちょうはもたないで、本もってたほうがいいんじゃないですか」と断られたこともあった。「そうですよね」とわたしは言ったようなきがする。

日比谷公園でサイレンの音をきいたこともある。だれかが、もう、走り始めていた。おじいさんがわたしの肩をつかんで、あんたも走るんだよ、と言った。わたしは、はい、と言ったようなきがする。

この記事を書いた人
yagimotoyasufuku
柳本々々(やぎもと・もともと)1982年、新潟県生まれ 川柳作家
安福 望(やすふく・のぞみ)1981年、兵庫県生まれ イラストレーター