うらんでもうらまなくても叶う夢

小林秀雄が言うには、一度しかないからこそとうとい、という。歴史もたったいちどだけだから、そこにうらみができる。尊敬や愛もいちどきりだという。たった一回だから価値があるという。あっちこっちに繰り返しあったら、それは歴史にも尊敬にも愛にもならないという。

いいうらみ、のようなものがあるだろうか。うらませてくれてありがとう。あなたに出会えたおかげでこんなにかなしくなった、というような。でも、いいうらみだったとさいごにおもえるような。愛でもなくて。

この記事を書いた人
yagimotoyasufuku
柳本々々(やぎもと・もともと)1982年、新潟県生まれ 川柳作家
安福 望(やすふく・のぞみ)1981年、兵庫県生まれ イラストレーター