壇上の星をみんなで片づける

幼稚園のときの劇はいつも最後に余った役をやっていた。

最後に余った役は、悪い宿屋のおじさんか壷をもつ家来か羊の役しかなかった。

壷をもって隊長のようなひとについて歩く役で、壷をもって長い長い道を歩いたのあれっきりだったのではなかったか。

金色に光るささげものの壷だった。隊長が「ここは夜の砂漠だ」という。夜の砂漠と呼ばれたステージをわたしは壷をもって歩いた。長い旅だった。らくだ役のひとがごそごそしている。貼り付けられた金色の星が輝いている。

この記事を書いた人
yagimotoyasufuku
柳本々々(やぎもと・もともと)1982年、新潟県生まれ 川柳作家
安福 望(やすふく・のぞみ)1981年、兵庫県生まれ イラストレーター