そこまでいかないとたどりつけないしろくま

ついこないだ、名古屋美術館でヒエロニムス・ボスのフィギュアを買った。フィッシュ・シップという〈さかなふね〉と、レター・バードという〈てがみとり〉のふたつを。

ヒエロニムス・ボスのフィギュアをみているうちに知ったものが、フランソワ・ポンポンのフィギュアで、ポンポンはロダンの助手をしていた彫刻家だ。

そこにはポンポンのしろくまのフィギュアがあったけれど、リサ・ラーソンの陶器のようにシンプルで、まるみがあって、でもどことなくみたことなかったようなはじめて会うりんかくのしろくま。

ポンポンはこのしろくまの代表作を67歳のときにつくったという。67でこのしろくまにたどりついたんだとおもうと、ちょっと感動してしまう。この一見なんでもないたんじゅんなしろくまに。

その日はポンポンのことを想いながらねむった。

この記事を書いた人
yagimotoyasufuku
柳本々々(やぎもと・もともと)1982年、新潟県生まれ 川柳作家
安福 望(やすふく・のぞみ)1981年、兵庫県生まれ イラストレーター