まちがってなつかしかったね

さいきんともだちが、笹井宏之さんがブログに「うんと間違えておきたい」って書いてたよ、って言っていた。まちがおう、っていいなとおもう。みんな、たいてい、まちがってないとおもって、まちがわないことをねがって、生きている。でも、うんと、の場所へ、まちがおうの場所へじぶんからとびこんでいって、ありったけのまちがいをいちどてにとったりまちがいからさえきょぜつされたりして、まちがいづくししてみるのもありなんだよなあきっと、とおもう。

  この森で軍手を売って暮らしたい まちがえて図書館を建てたい  笹井宏之
  (『えーえんとくちから』)

ひとりでもまちがえたいし、ふたりでもまちがえたい。まちがってるね、といって、わらわれたい。でもいいまちがいだね、よかったね、ともいわれたい。まちがえて図書館もたてたい。すこしのあいだ、ただしい、ということをわすれたい。まちがえて、いのりたい。


『もともと予報』(春陽堂書店)柳本々々(句)・安福 望(イラスト)
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『バームクーヘンでわたしは眠った もともとの川柳日記』(春陽堂書店)柳本々々(句と文)・安福 望(イラスト)
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この記事を書いた人
yagimotoyasufuku
柳本々々(やぎもと・もともと)
1982年、新潟県生まれ 川柳作家 第57回現代詩手帖賞受賞
安福 望(やすふく・のぞみ)
1981年、兵庫県生まれ イラストレーター