ね、でつうじる「生きていきましょうよ」

ワーニャおじさんが好きで、ときどきワーニャおじさんのことをかんがえている。春のことや死のことをかんがえるよりも、ワーニャおじさんのことをかんがえたことのほうが多いかもしれない。好きなほんと好きなひとをわたしは同時に答えられます。ワーニャおじさんです。そう答えるのではないか。

「生きていきましょうよ。長い、はてしないその日その日を、いつ明けるとも知れない夜また夜を、じっと生き通していきましょうね」とソーニャはワーニャに言っていた。もうみんなかえったへやで。願いがなんにもかなわなかったふたりが。なんにもかなわないし、だれともつうじあえないかもしれない。でもなんのりゆうもなく、ソーニャはワーニャに、生きていきましょうよ、という。ちがわないとおもって。


『もともと予報』(春陽堂書店)柳本々々(句)・安福 望(イラスト)
2019年5月から好評連載中『週刊もともと予報-ことばの風吹く-』がすてきなポストカードブックになりました! 24綴りとなっております。1枚ずつ切り離して飾るもよし、大切な方へのお便りに使うもよし、当連載と併せてお楽しみください。


『バームクーヘンでわたしは眠った もともとの川柳日記』(春陽堂書店)柳本々々(句と文)・安福 望(イラスト)
2018年5月から1年間、毎日更新した連載『今日のもともと予報-ことばの風吹く-』が本になりました。365句の中から104句を厳選。
ソフトカバーつきのコデックス装で、本が開きやすく見開きのイラストページも堪能できます!

この記事を書いた人
yagimotoyasufuku
柳本々々(やぎもと・もともと)
1982年、新潟県生まれ 川柳作家 第57回現代詩手帖賞受賞
安福 望(やすふく・のぞみ)
1981年、兵庫県生まれ イラストレーター