フィナーレでわたしひとりが眠り込む
「ねえねえ、ちょっと!」とわたしの肩をゆさぶる。ひとがいまいるのにねむっちゃうってどういうことなの!? ちょっと、起きてよ!
わたしは麻酔のかかったコアラのようにまどろんでいる。どうしてこんなにいつもねむたげなにんげんになったんだろう。わからない。大事なシーンでもねむってしまうことがある。
クリスマスの日にねむくてねむくてしかたなく、ずっととろとろとろ火をおこすようにまどろんでいたら、女の子から、わっと泣かれたことがあった。どうしていつもこんななの! わたしもうやだ、と。
ぼくだっていやなんだよ、とおもいながら、めはまどろんでいる。ハーブスの巨大なミルクレープ。メロンやキウイや苺がはさまっている。カスタードクリームもたっぷりと。くずさずたべるのがたいへんなやつで、わたしはそれと女の子と雪のみえる窓をまえに、まどろんでいた。
脳がおかしいんじゃないかとおもったこともある。あるいは、眼が。あるいは、心が。あるいは、この地球が。
わたしにだけまどろむようなガスが地球の微細な穴からたえずでているとか。ねむれ、と。
だって、なんか、おかしいもの。
と、おもいつつ、もう、ねむっている。
どうするんです、これ? とわたしはおもう。わたしにたいして。
いや、地球にたいして、おもった。