クリーム色の釦を捜すふしぎな夜
バスのなかでユニコーンのチャームをたくさんつけてねむってるひとの話をきいた。ゆめが漏れだしているようなかんじでねむっていたという。眠りながらユニコーンをひきつれて走っている。そういう話を電話できいた。ありがとう、と言って電話をきる。こころにのこる話だったよ。
そとにでたら、もう春だよ知ってた、というかんじの風が吹いている。あの、いろんな花の粉がまじったような、つめたさのおくにあたたかさがあるような、風が。
いろんなひとと出会いすぎたり別れすぎたりしてここまで来ている。それをいいあらわすことばがないまま、いま、この春にいる。