アリスのことを思い出している穴

ときどきわたしにはよくわからない穴みたいなものを感じることがある。じぶんじしんやじぶんの言っていることに。なんだろうこの穴。いきているとでてくる人生の誤植のような穴。この穴がなんなのかわたしにはまだよくわからない。わたしはアリスではないからしゅうへんに追いかける兎もいないし問いかけてくる芋虫もいない。道を指し示すわらうねこも。でもこの穴のおかげでときどきちょびっとの変化が訪れる。穴はわたしに話しかけてくる。

この記事を書いた人
yagimotoyasufuku
柳本々々(やぎもと・もともと)1982年、新潟県生まれ 川柳作家
安福 望(やすふく・のぞみ)1981年、兵庫県生まれ イラストレーター