手紙を書く眠る夜に星に着く

わたしが川柳をはじめた頃に出会った竹井紫乙さんに、

  干からびた君が好きだよ連れて行く
         (句集『ひよこ』)

という句がある。そういういちばん最後から出発できるのが川柳なのかなって今あらためておもう。なにもかもが終わってもはじめられるところに川柳がある。わたしにとってはだから川柳ってそういうものだ。はじめに干からびた句があった。だからぜんぶ終わってもいい。ぜんぶ終わったところからはじまってもいい。

この記事を書いた人
yagimotoyasufuku
柳本々々(やぎもと・もともと)1982年、新潟県生まれ 川柳作家
安福 望(やすふく・のぞみ)1981年、兵庫県生まれ イラストレーター