連絡帳にふたりのことをまっ先に書く
『hibi』という句集を出した八上桐子さんの句に、
二人乗りの舟ってふつうにこわいね 八上桐子(『川柳ねじまき』第4号)
という句がある。なんだろう。愛の句のようにもおもえるし、家族の句のようにもおもえる。ひとりだったはずなのに、いつのまにか〈ふたり〉になってしまうこわさ。それをしてしまったらわたしたちふたりになってしまうんだぞ、というきょうふ。もうもとにもどれないんだぞというふたり。でもそのこわさが「ふつう」にうめこまれている日常。
ふたりという存在は時限爆弾みたいだ。世界のあちこちにふたりになるための罠がしかけられている。そしてふたりはこんどは家族になってゆく。いつのまにかきづくとひとがふえている。