もうつぶつぶの太陽のせいにする
カミュ『異邦人』の主人公ムルソーは、どうしてひとを殺したのか聞かれて、太陽のせい、と答えていたけれど、太陽を眼にして、それが口にできたなら、もうそれだけでいいんじゃないかという気もする。
遅刻したときも学校をやすんだ日も約束を守れなかったときも、太陽のせい、なんて言ったことはなかった。それはたぶんそのときあわてふためいていて太陽を見る余裕もかんがえる余裕もなかったからだとおもう。でもムルソーはいちばんピンチなときにいちばん太陽のそばにいた。太陽のひみつのようなものがあるのかもしれない。太陽に近づくテクニックのようなものが。
ムルソーはさいごに叫んでいる。みんなうそつきばかりだ、なぜすなおにならないんだ、と。すなおになると太陽にちかづく。