こぼれるようにパジャマ着たひとたちの群 月光 ひとりわくわくす

表現が好きなひとっていたずら好きのひとなんじゃないかとおもう。ひとをおどろかせることがすきなんだろうし。こどものころいっぱい死んだふりとかしたんだろうとおもう。だれも入ってない部屋を密室にしてたのしんだりおこられたり。 

おとなになったらわくわくすることが減るのかとおもったら、むしろ、ふえてきた。わくわくって、生きるためのお駄賃みたいだ。わくわくが支払われて、生きていく。

またねむれなくなっている。パジャマの上にコートを着込んでねむれなかったひとたちの群れに加わる。

つまり、よふけ、まちをうろうろする。

月のひかり。こんなところがあったんだなあとわたしは巨大な建物をみあげる。ほとんどパジャマで。

この記事を書いた人
yagimotoyasufuku
柳本々々(やぎもと・もともと)1982年、新潟県生まれ 川柳作家
安福 望(やすふく・のぞみ)1981年、兵庫県生まれ イラストレーター