呼ばれて返事をしてしまったところ

じぶんが呼ばれたところが、じぶんの場所だという考え方がある。

縁、といってもいいかもしれないけれど。

でも、呼ばれるだけじゃだめだろう。呼ばれて、つい、ふりかえってしまうことが重要だ。

呼ばれてついふりかえってしまったところがじぶんの場所になる。

角田光代さん原作・安藤尋監督の映画『月と雷』には、月と雷のようにその場にとどまらず、家族もつくらず、ずっとうろうろしつづけるひとびとが出てくる。

でも、うろうろしながらも、ときどき、かれらは互いに呼びかけあい、つい、ふりかえる。

家族、ってなんだろう。わたしの呼びかけに、ついふりかえってしまったひとのことだろうか。

この記事を書いた人
yagimotoyasufuku
柳本々々(やぎもと・もともと)1982年、新潟県生まれ 川柳作家
安福 望(やすふく・のぞみ)1981年、兵庫県生まれ イラストレーター