この日付のおなかを押してみるといい

本が発売になる。この連載が本になった『バームクーヘンでわたしは眠った』に記載されている日付はところどころ少し見切れて印刷されている。ふしぎな本のふしぎなデザイン。ゆらゆらした途切れそうな日々の日付によく似合うとおもう。

どこかで、きまったものはきまったもの、と考えているところがある。もしそれが運命とよぶものなら、いっしょけんめいやってみようじゃないかと。

決められてしまう、のがおもしろいということもある。へーそう決めるんだ、と。だったらじぶんはそれにどう動けるんだろう。そのなかで。

柴崎友香さんの『よう知らんけど日記』に、☆日、と書いてあった。やがてその☆に具体的な数字があてがわれて、わたしの☆日がやってくるかもしれない。おまえの☆はこれね、と。

はい。


『バームクーヘンでわたしは眠った もともとの川柳日記』(春陽堂書店)柳本々々(句と文)・安福 望(イラスト)
2018年5月から1年間、毎日更新した連載『今日のもともと予報 ことばの風吹く』の中から、104句を厳選。
ソフトカバーつきのコデックス装で、本が開きやすく見開きのイラストページも堪能できます!
この記事を書いた人
yagimotoyasufuku
柳本々々(やぎもと・もともと)
 1982年、新潟県生まれ 川柳作家 第57回現代詩手帖賞受賞
安福 望(やすふく・のぞみ)
 1981年、兵庫県生まれ イラストレーター