木の馬を降りて「未来見えてたの。」
むかしの写真がでてきて、こんなめがねかけてたんだなあ、とおもう。仮面のような。蝶ネクタイのような。どうなってんだこの眼鏡、とおもう。でも過去は変えられない。わたしがわすれても変えられない。わすれてもそれはある。そしてときどき未来にやってくる。髪あらってるときなんかに。
髪洗うときアメリカを忘れてる 樋口由紀子(『めるくまーる』)
アメリカを忘れてること。でもアメリカを忘れてることに気づくこと。わたしのなかの見えない部分にきづくこと。眼を閉じて、髪を洗っているときに、わすれてるかたちでおもいだすこと。
このとき未来みえてたの、と言われて、ぜんぜん、と答えた。このめがねかけてたとき未来みえてたの?
ぜんぜんだよ。
いまはどう? なんてきかれなかったけれど。