世界中の野生動物や自然の風景を追い求めてきた動物写真家・井村淳。なかでもアフリカでの撮影は26年にも及ぶ。彼は今年の4月に、ケニアへ39回目の撮影旅行を終えて帰国した。サバンナの雄大な風景と、そこに生きる野生動物の姿をとらえた撮りおろし作品を、旅のエピソードとともにおくる。
今回は、ケニアで出合ったお土産や、お土産の買い方についてお話しいたします。
僕はお土産を買うのが大好きです。出発前は荷物の重さと戦っていたはずなのに、そんなことはケニアに行ってしまうと忘れてしまいます。ケニアの人たちに手土産で渡したお菓子や、自分で消費したものもあるはずなのに、帰りは減った荷物のスペースを、ちゃんと現地で買ったお土産が占拠しています。結局、来たときとほぼ同じ重さの荷物で帰国します。

動物の絵が彫られた4脚セットのグラス。箱付きだが、割れないように抱えて持ち帰る。

マサイ族の民芸品であるビーズ細工のアクセサリー。ブレスレットや首飾りなどがある。
言い値のお土産には値札などありません。交渉して値段に納得したら買うという感じです。しかし、言い値ですからはじめはほとんどが吹っかけてきます。
ぼられないためには、現地の相場を知っておくとよいです。値段が決まっているホテルの売店などでチェックしておくのがよいでしょう。または、何度か経験することで、以前買ったときの値段などがわかってきます。

左)こん棒はマサイ族の代表的な武器。(右)ビーズ細工が施されたキーホルダー。

(左)今まで買い集めた木彫り。なるべく縮尺をそろえるとよい。
(右)サファリでは特に仕留めるのが難しい代表的な動物、
ビッグファイブ(クロサイ、ライオン、ゾウ、ヒョウ、バッファロー)の木彫り。

(左)週に一度開かれる市場の模様。(右)ビーズ細工に使われるビーズの束。

(左)マサイシュカ。チェック模様が基本で、色も豊富だ。
(右)柄がケニアらしい布製のバッグ。
そのうち、市場のボスみたいなおばちゃんが出てきてその場はおさまったのだが、布の値段が最初より高くなってしまった。僕の得意技である「じゃあ、いらないよ!」の一言を言って去ろうとすると、向こうもすんなり引っ込んだ。「ありゃ? 商売っ気ないね」と思いましたが、ほかで買うより安いし、気に入った色があったので買うことにしました。市場にはいろんな果物や野菜、衣類やサンダルなども並んでいます。ただ、写真を撮るときは気をつけてください。マサイ族は、撮られることを嫌う人が多いです。こちらが何か買ったときは笑顔で撮らせてくれます。

石細工のカバ。大きさは5センチぐらいで、手作りのため全て模様が違う。筆者宅には50個以上ある。
20ドルくらい多く払ってしまいました。彼らは、後からその分の払い戻しをすれば、そのお金はポケットに入るのでしょう。それ以来、レジでは「ちゃんと見てるぞ!」というアピールのためにも、レジスターの表示を凝視しています。
また、僕はお酒をあまり飲まないのですが、アフリカには「アマルーラ(AMARULA)」という甘いリキュールがあります。ラベルにゾウの絵が描いてあって、飾っておくのにもいいなあと思い、値段を聞くと10ドルと言われました。普段からお酒に興味を持っていなかったので、そんなものかと思いました。しかし、買った後にほかの店で同じお酒を見つけ、値札を見てみると5ドルでした。やられた。損をしたくなければ物の相場を知っておかなければならないと痛感しました。

右が定番の紅茶。中の2つは最近人気が高い。ボトル入りはスーパーで買ったお徳用。
左は空港のカフェで買った紅茶で、少々高いがおいしい。
支払いはクレジットカードが使えるところも増えてきましたが、スーパーでは現金払いのほうが安全です。スキミング被害に合わないためです。
また、ゲートにいる売り子や市場では現金しか使えません。アメリカドルでもよいと言われることもありますが、レートに注意です。たまにドルのほうがお得なときもありますが、ケニアシリングのほうがよいときもあります。どちらも用意していれば、レートの良いほうで購入することができます。

(左)クッションカバー。精密な動物の描写が良い。
(右)マサイ族をイメージした油絵。
が、それは叶いそうもありません。

(左)木製のフォトフレーム。写真を入れずに飾っている。
(右)ブリキ製のサファリカー。ちゃんと屋根が開閉する。

朝焼けの東の空に飛び立つバルチャー(ハゲワシ)。
≪≪著書紹介≫≫
『ALIVE Great Horizon 』 (春陽堂書店)井村 淳(著)
アフリカ、ケニアの動物たちを撮り続ける、カメラマン・井村淳の集大成!厳しい自然の中で生きる動物たちの日常を切り取った写真は、まるで人間の家族の姿を映し出しているかのよう。
ライオン・チーター・ゾウ・シマウマ動物たちの温かいまなざしが感じられる写真集。
アフリカ、ケニアの動物たちを撮り続ける、カメラマン・井村淳の集大成!厳しい自然の中で生きる動物たちの日常を切り取った写真は、まるで人間の家族の姿を映し出しているかのよう。
ライオン・チーター・ゾウ・シマウマ動物たちの温かいまなざしが感じられる写真集。
┃この記事を書いた人
井村 淳(いむら・じゅん)
1971年、神奈川県生まれ。日本写真芸術専門学校卒業。風景写真家、竹内敏信氏の助手を経てフリーになる。公益社団法人日本写真家協会(JPS)会員。チーター保護基金ジャパン(CCFJ)名誉会員。主な著書に『流氷の天使』(春陽堂書店)、『大地の鼓動 HEARTBEAT OF SVANNA——井村淳動物写真集』(出版芸術社)など。
井村 淳HP『J’s WORD』http://www.jun-imura.com/
井村 淳HP『J’s WORD』http://www.jun-imura.com/