山頭火没後80年の節目の年に、既に絶版となって久しい『山頭火全集』を再編集し、新しい解説、資料等を増補し、蔵書となるよう装丁も一新、『新編 山頭火全集』として刊行いたしました。
種田山頭火とは、山頭火の句とはいかなるものだったのか。『新編 山頭火全集』でご覧ください。
山頭火がやって来る! ~坪内捻典・推薦文
また山頭火がやってくる!新しい全集の刊行プランを聞いたとき、瞬時に頭に浮かんだのはこの思いだった。
私が山頭火に出会ったのは、中学生のころ、家にあった大山澄太さんの編著を通してだった。その後は山頭火への関心がやや弱くなったが、でも、村上護さんの編著を通して、なんどか山頭火を読み直し、その度に新しい山頭火に出会った。
まつすぐな道でさみしい (『新編 山頭火全集』第一巻 359頁)
秋となつた雑草にすわる (『新編 山頭火全集』第一巻 370頁)
今回の新しい全集は、村上護さんが力を注いだ『山頭火全集』全11巻(1986年~1988年)を元にして編まれるという。私はこの際、あらためて山頭火を読み、彼の言葉にじっくり耳を傾けたい。時には同じ俳人として議論を挑んでみたい。もっとも、彼は酒癖がやや悪そうなので、いっしょに飲むのはやめたい。オンライン飲み会にしておこう。
今、オンラインという語を使ったが、こんどの山頭火はインターネットの世の中へやってくる。しかも私たちがコロナと過ごす日々へやって来る。彼の言葉やライフスタイルは、インターネットとコロナの日々において、どのように受け入れられるのだろうか。これ、ちょっとした見ものかも。
(つぼうち・ねんてん 俳人、柿衛文庫理事長)
『新編 山頭火全集』
山頭火研究の第一人者である村上護氏が監修・校訂した全集を基に、山頭火の俳句、日記を全て収録。
俳人であり、研究者でもある坪内稔典氏による全巻解説、全八巻のセット函、各巻に巻頭口絵、月報つき。