さみしくなるとUFOをみる

『長江哀歌』をみた。

ダムに沈もうとするまちでむかしわかれた妻を男はずっとさがしてる。

男はある朝、青いブリーフいちまいで屋上にでる。そのときUFOがなんとなくでる。そのUFOに理由はない。ブリーフ姿で主人公の男はぼんやりとUFOをみあげる。UFOははやくもゆっくりもなく男のずじょうを通過する。説明はない。

それはSFとはなんのかんけいもない。未来や過去ともかんけいしない。希望とか勇気でもない。あえない。いまふっとさびしくなって、そのときそのさびしさからなんとなくUFOがでる。宇宙もさびしいということをつたえにくる。さびしいUFOだったんじゃないか。

あとこの映画ではなんの理由もなく、高層ビルがロケットみたいに火を噴いて飛ぶ。ときどきこの地球の建物は 飛ぶ。意味はない。


『もともと予報』(春陽堂書店)柳本々々(句)・安福 望(イラスト)
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『バームクーヘンでわたしは眠った もともとの川柳日記』(春陽堂書店)柳本々々(句と文)・安福 望(イラスト)
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この記事を書いた人
yagimotoyasufuku
柳本々々(やぎもと・もともと)
1982年、新潟県生まれ 川柳作家 第57回現代詩手帖賞受賞
安福 望(やすふく・のぞみ)
1981年、兵庫県生まれ イラストレーター