星「とてもおやすみなさい」
ある日くまさんにであった、の歌がずっとふしぎだなと思ってる。いまでもよくかんがえている。
「そもそも、くまにであったとってもおおきな日なのに、ある日ではじまるのはどういうことなんだろうね。この日、だよね。ずっとくまにあの日あのときであった、この日だよ」
「あれってなんだか5月の歌なんじゃない。5月の森のようなきがする。5月のある日で。そしてそれはたぶん5月がじつはよくわからない季節だからじゃない。あついのかさむいのか、じぶんがどこにいるかわからず、ふわふわしてるときに、くまからにげなさいといわれる。そのくまもふわふわしてるし、じぶんもふわふわしてる、だからおとしものをするし、おおくのものやことをおとしてわすれてきたんだともおもう。しっかりとうしなってきた。そして今、にげている。この森で」
「りゆう、5月ね」
のちのち、ずっとかんがえる。あの日森のあふれる光のなかで、ほんきで走りながら、なににであい、なにをえて、なにをうしなったかを。そういううた。
『もともと予報』(春陽堂書店)柳本々々(句)・安福 望(イラスト)
2019年5月から好評連載中『週刊もともと予報-ことばの風吹く-』がすてきなポストカードブックになりました! 24綴りとなっております。1枚ずつ切り離して飾るもよし、大切な方へのお便りに使うもよし、当連載と併せてお楽しみください。
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『バームクーヘンでわたしは眠った もともとの川柳日記』(春陽堂書店)柳本々々(句と文)・安福 望(イラスト)
2018年5月から1年間、毎日更新した連載『今日のもともと予報-ことばの風吹く-』が本になりました。365句の中から104句を厳選。
ソフトカバーつきのコデックス装で、本が開きやすく見開きのイラストページも堪能できます!
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┃この記事を書いた人
yagimotoyasufuku
柳本々々(やぎもと・もともと)
1982年、新潟県生まれ 川柳作家 第57回現代詩手帖賞受賞 安福 望(やすふく・のぞみ)
1981年、兵庫県生まれ イラストレーター
1982年、新潟県生まれ 川柳作家 第57回現代詩手帖賞受賞 安福 望(やすふく・のぞみ)
1981年、兵庫県生まれ イラストレーター