2018年5月、小社サイトリニューアル時から始まりました、当サイトでも一番長い連載となりました 『 本と人と街をつなぐ 明日へ続く本屋のカタチ 』 。
独自の視点や感性で、個性ある選書をする“新たな街の本屋さん”を取材させていただく中で、小社出版書籍のご紹介もいただきました。
そのお声をまとめてご紹介します。是非ご一読ください。(ご紹介は出版順)



翻訳はめぐる 金原瑞人
和氣正幸さん(BOOKSHOP TRAVELLER)
「かつて横書きの言葉を右から読んでいた理由、それに翻訳者が言葉をどう捉えているかがわかって面白い。取りあげている名言や本もとても興味深いので、海外文学をあまり読まない人にもおすすめ。


チベット幻想奇譚 星泉、三浦順子、海老原志穂(編訳)
荻田泰永さん(冒険研究所書店)
チベットを舞台として語られる摩訶不思議な世界の話は、人間のメンタリティはいつの時代も変わらないこと。そして、時代とともに変わるものがあることを同時に教えてくれます。


おなじ星をみあげて ジャック・ゴールド
ステイン(著/文 | イラスト)、辻仁成(翻訳)

那須庸仁さん(くわのみ書房)
フランス語圏の漫画「バンド・デシネ」の形式で描かれたこの本は、人種問題がテーマとして取り上げているところは現代的であり、物語自体もすばらしく、おすすめです。


ビートルズとストレスマネジメント 松生恒夫
川田正和さん(旅の本屋のまど)
ビートルズに関する本はたくさんありますが、この本は彼らがストレスフルな体験をどのように乗りきったかという視点で語られているのが面白い。


となりの一休さん 伊野孝行
大林えり子さん(ブックギャラリーポポタム)
どこから読んでもいいバラエティ・ブック。一休宗純のエピソードが痛快で、何かと力づくでねじ伏せてくる現代社会を生き抜く指南書としても読めます。


人魚の嘆き・魔術師 
谷崎潤一郎

新井由木子さん(ペレカスブック)
大正時代に春陽堂から刊行された大型本が、100年の時を経て完全復刻されました。水島爾保布(におう)の装画や挿絵、当時のままの書体も素敵。
宮岡絵里さん(植物の本屋 草舟あんとす号)
製本の仕方やエンボス加工、そして大正時代に刊行された当時の書体にまでこだわりつくした美装復刻本。手にすると、書物に宿る魔法が百年以上の時を超えて、さらに強くなっていることをひしひしと感じます。


ヒルダの冒険1 ヒルダとトロールルーク・ピアソン
近藤裕子さん(パン屋の本屋)
ヒルダの少し斜に構えた視点がかなりユニークで、おそろしいトロールなど出てくるキャラクターも個性的。独特な視点で紡がれた物語が、人生にはユーモアが必要だと気付かせてくれます。


ことばのみがきかた 
今野真二

片山淳之介さん(BOOKSHOP 無用の用)
〈しっかり考えたうえで感覚を述べたら、間違って伝わることはない〉という指摘。それまでの自分は味見をしないで料理を出していたようなものだったと気づかせてくれました。
後藤恭子さん(空葉堂書店)
〈「はなしことばと書きことば」「【ことがら】情報と【感情】情報」にわけて丁寧に考えてみてごらん〉という本書のアプローチは、ファシリテーターをはじめとする対人支援者にも大いに有用です。


念力レストラン 笹 公人
関口竜平さん(本屋lighthouse)
「短歌って、こんなに面白いんだぜ」「自由にやっていいんだよ」というメッセージがガンガン伝わってくる。詠んでいる本人がいかにも楽しそうなところが、何より素晴らしいと思います。


芥川賞候補傑作選 戦前・戦中編 
鵜飼 哲夫・編

萩野亮さん(本屋ロカンタン)
そもそも賞とは何なのかという制度の部分に触れているところが面白い。
小谷野哲夫さん 川瀬哲史さん(八木書店)
候補となった作品と選評に目を向けることで、それぞれの時代の空気を強く感じることができます。


明日咲く言葉の種をまこう―心を耕す名言100 岡崎 武志
大山朱実さん(甘夏書店)
人生の機微を味わえる名言エッセイでありながら、「自分はどう生きるか」を考えさせられる、思索の書でもあります。。


今こそ「スポーツとは何か?」を考えてみよう! 玉木 正之
萬納嶺さん(山陽堂書店)
競技として、“文化としてのスポーツ”について書かれたこの本を読んで、スポーツとは、人間とその生活、そして社会をも豊かにするものなのだと再認識しました。


野蛮の言説 差別と排除の精神史 
中村 隆之

佐々木友紀さん(YATO)
古今東西の著作を紐解きながらコロンブスの新大陸発見から進化論、ホロコースト、現代の差別意識に至るまでの、文明と野蛮の対立を追ったこの本をおすすめします。


匂いと香りの文学誌 真銅 正宏
松井祐輔さん(H.A.Bookstore)
文学における「匂い」の表現に注目した、一風変わった視点の評論集。
津守恵子さん(平井の本棚)
文学とは「匂いと香り」に満ちていることを気付かせてくれる。


人生の童話 心に刻む10のものがたり 
上田信道/浅生ハルミン

安村正也さん(Catʼs Meow Books)
目の前に起きたことをどう読みとるか、どう捉えるかによって人生は変わっていく。世の中は寓意に満ちていることを、この本はあらためて気づかせてくれました。


太宰治 女性小説セレクション誰も知らぬ 太宰治、井原あや
河合南さん(百年の二度寝)
短編「恥」は、自身の困窮ぶりを書き綴る作家と、彼の貧苦にロマンを感じてしまった女学生の話ですが、これを女学生側の視点から書いているのがたまらなくいじわるで最高です。